清貧にして限りなく自由、その生き方が教える真の豊かさ
偉人から現代に通じる教えを学び、感じる「高僧・祖師」シリーズ。
その第一弾となるのが、仏師 藤田燿憶(原型)と仏像彩色師 篁千礼(彩色監修)の協力によって完成した「木造 良寛像」です。
地位や名誉を求めず、子供たちと無邪気に遊び、温もりある書や詩歌の創作で日々を送った良寛の清貧な生き方は、物質的に恵まれながらも常に競争や欲望などのストレスに晒される現代の私たちにとって、限りなく自由に感じられます。そこには人が人として生きるために何が必要か、本当の意味での豊かさとは何かという教えがあります。
良寛とは
良寛（1758〜1831）曹洞宗の僧侶で漢詩人、歌人、書家としても知られる江戸時代後期の禅僧。
宝暦8（1758）年、越後国出雲崎（現・新潟県三島郡出雲崎町）の名主 橘屋山本家の長男として生まれる。安永４（1775）年、18歳の時に光照寺にて出家。安永8（1779）年、備中玉島（現・岡山県倉敷市）の円通寺 国仙和尚に師事。12年間の修行を経て諸国行脚の旅に出た後、国上山（現・新潟県燕市）の五合庵、そのふもとの乙子神社草庵に定住。74歳で逝去するまで生涯寺をもたず、粗末な草庵に住み、欲にとらわれない生活を送る。そうした中で遺した多くの詩や歌には良寛の素朴な人間性が表れ、夏目漱石など著名人からも愛された。分け隔てることなく誰とでも平等に接し、子供たちと無邪気に遊ぶ逸話から伝わる慈愛に満ちた人物像は、時代を超え親しまれている。
こだわりの造形
「木造 良寛像」を制作するにあたり、仏師 藤田燿憶師と入念な打ち合わせを重ねました。
「表面上の優しさだけではない、心の内面を映し出し伝わる良寛像」という思いを表現しました。
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良寛像では珍しい、坐禅を組むシンプルな姿でありながら、
人間味あふれる表情や清廉な佇まいを表現した造形
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五合庵での一人静かなひととき、
穏やかに禅を組むお姿を心に描き表現した彩色
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草庵に集う子供たちが拭き清めた質素な縁側をイメージし
彩色した展示台
仏師の言葉
「良寛さんは禅僧の中でも優しさの代表のような方ですが その優しさは厳しい禅の修行の末に現れた究極の優しさ(慈悲)なのではと想像します。良寛さんの肖像画や彫刻では私の知る限りでは坐禅姿というものは少ないように思います。良寛さんの優しさをつくり出したその厳しい坐禅修行のお姿を表現したいと思い制作いたしました。」
藤田燿憶
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